
カメを飼育し始めて最初に突き当たる壁、それが「エサ選び」です。
ネットやSNSでよく目にする「マズリ(Mazuri)」というブランド。
「食いつきがすごい」という噂を聞く一方で、「海外製だけど大丈夫?」「栄養が偏らない?」と不安に思っている方も多いのではないでしょうか。
カメ専門店を営んでいる当店では日々、様々なカメたちの健康を管理していますが、その現場でもマズリは欠かせない主力フードとして活用しています。
マズリの特徴や成分、メリット・デメリット、正しい与え方までわかりやすく解説しますのでぜひ参考にしてくださいね。
マズリ(Mazuri)とはどんなブランド?

マズリは、アメリカの「PMIニュートリション」社が展開するエキゾチックアニマル専用のフードブランドです。
最大の特徴は、「世界中の動物園や水族館で採用されている」という圧倒的な実績にあります。
家庭用ペットだけでなく、希少種の保護や繁殖を目的としたプロフェッショナルな現場で使われているため、栄養設計の信頼性は折り紙付きです。
カメ用としては主に以下の2ラインが主流です。
- リクガメ用(トータスダイエット)
- 水棲ガメ用(アクアティックタートルダイエット)
一つずつ詳しく解説していきます。
【種類別】マズリの成分と特徴を徹底分析

なぜマズリが選ばれるのか。
それは、カメの「食性」を科学的に分析して作られているからです。
それぞれのマズリの種類の特徴を見ていきましょう。
リクガメ用(5M21 / 5E5L)
リクガメ、特にヘルマンリクガメやギリシャリクガメなどの地中海系、またケヅメリクガメなどの乾燥系種には、「高繊維・低タンパク」な食事が不可欠です。
マズリのリクガメ用フードは、チモシーなどの牧草を主原料にしており、野生下で食べている低栄養な野草に近いバランスを再現しています。
トータスダイエット 5M21とトータスダイエットLS 5E5Lの主な違いは、主原料と栄養バランスにあります。
一言でいうと、5M21は「高栄養で食いつき重視」、5E5Lは「低糖質・低タンパクで健康維持重視」という特徴があります。
- トータスダイエット 5M21 がおすすめなケース
- 成長期のベビーをしっかり大きく育てたい場合。
- 食いつきを重視したい場合(マズリシリーズの中でも特に嗜好性が高いことで知られています)。
- 森林・熱帯に生息するアカアシガメやホシガメなど、ややタンパク質を必要とする種。
- トータスダイエットLS 5E5Lがおすすめなケース
- ケヅメリクガメやヒョウモンガメなど、乾燥地帯に生息し、高タンパクな食事で結石ができやすい種。
- 運動不足になりがちな飼育下で、肥満を防ぎたい成体。
- より野生に近い、繊維質中心の食事を与えたい場合。
どちらのフードも非常に粒子が大きく硬いため、基本的には水やぬるま湯でふやかしてから与えるのが一般的です。
| トータスダイエット 5M21 | トータスダイエットLS 5E5L | |
| 主原料 | アルファルファ(マメ科) | チモシー(イネ科) |
| タンパク質 | 15.0%以上 | 12.0%以上 |
| 脂肪分 | 3.0%以上 | 4.0%以上 |
| 繊維質 | 18.0%以下 | 22.0%以下 |
| 特徴 | 嗜好性が非常に高く、成長期の個体や食欲不振時に最適 | 低デンプン・低タンパクで、結石予防や体重管理に向く |
水棲ガメ用(5M87など)
ドロガメやクサガメなどの水棲ガメには、成長に必要な動物性タンパク質が必要です。
マズリは、成長段階に合わせて必要な栄養素をバランスよく摂取できるよう工夫されています。
また、マズリの水棲ガメ用は、水に浮く「浮上性」でありながら、水に溶け出しにくい工夫がされています。
これにより、効率よく栄養を摂取させることが可能です。
専門店が実感するマズリのメリット

当店でマズリを使い続ける理由は、単に「有名だから」ではありません。
実務上の明確なメリットがあるからです。
① 圧倒的な「嗜好性(食いつき)」
これが最大のメリットです。
他の人工飼料を食べない個体でも、マズリならガツガツ食べるというケースを何度も見てきました。
特に、入荷直後の立ち上げ個体や、食欲が落ちた個体の「きっかけ作り」として最強のツールになります。
② 成長スピードと甲羅の形成
適切な給餌量を守れば、マズリを与えている個体は非常にがっしりと育ちます。
ビタミンD3やカルシウムの配合バランスが優れているため、室内飼育で不足しがちな栄養素を補い、美しい甲羅の成長をサポートしてくれます。
③ コスパと保存性の良さ
専門店として嬉しいのが、大袋(バルク)での販売がある点です。
多頭飼育をしている方にとっては、非常にコストパフォーマンスが良いフードです。
また、粒がしっかりしているため、正しく保管すれば劣化しにくいのも魅力です。
知っておくべきデメリットと「偏食」の注意点

良いことばかりではありません。
プロだからこそ感じる「注意点」も正直にお伝えします。
① 「マズリしか食べなくなる」依存性
食いつきが良すぎる反面、一度マズリの味を覚えると、他の人工飼料や野菜(小松菜やチンゲン菜など)を拒否するようになることがあります。
特に草食性のリクガメに主食としてそればかり与えると、タンパク質や脂質が過剰になる場合もあります。
当店では野菜と一緒に与えることを推奨しています。
② 与えすぎによる肥満・ボコつき
栄養価が高いため、欲しがるままに与えるとすぐに太ります。
また、急激な成長はリクガメの甲羅がボコボコと盛り上がる原因にもなります。
「腹八分目」を守り、カメの成長段階に合わせた量調整が必須です。
【実践】専門店流・失敗しないマズリの与え方

マズリの性能を引き出すには、与え方にコツがあります。
ぜひ確認し参考にしてみてくださいね。
ステップ1:正しい「ふやかし」
リクガメ用などはそのままだと硬いため、ふやかして与えます。
- ポイント: お湯ではなく「水」または「ぬるま湯(30℃以下)」でふやかしてください。熱湯を使うと、熱に弱いビタミン類が破壊されてしまいます。
- 時間: 5分〜10分程度。芯が少し残るくらいの方が、噛む力を維持できるのでおすすめです。
ステップ2:副食とのブレンディング
マズリ単体ではなく、刻んだ野菜や野草に混ぜて与えるのがプロの技です。
これにより、野菜の摂取量を増やしつつ、栄養バランスを整えることができます。
(残った粉も野菜にふりかければ、野菜のみよりも栄養価が増しますよ)
ステップ3:食べ残しの除去
マズリはふやかすとカビが生えやすくなります。
特に夏場やケージ内の湿度が高い環境では、食べ残しを数時間放置するだけで腐敗が始まります。
3時間程度経っても食べない分は、潔く取り除きましょう。
専門店スタッフのリアルな感想

当店では、特にミズガメからリクガメの「ベビーからヤング個体の育成」にマズリを重宝しています。
特に当店で多数いるヘルマンリクガメなどの成長のサポートをしてくれています。
ベビーからマズリを与えて育っている子を見ていると、甲羅が凹つかずすくすく成長してくれている個体を何匹も見てきました。
このように、マズリはカメの健康の「底上げ」をしてくれる、頼れる相棒のような存在です。
マズリはこんな飼い主さんにおすすめ!

これまでマズリのメリットやデメリットについてもお伝えしてきました。
でも結局うちの子にはマズリがいいのかな?と思った方。
マズリがおすすめな方は以下の通りです。
- 「どのエサがいいか迷っている」初心者の方
- 「最近、カメの食欲が落ちてきた」とお悩みの方
- 「多頭飼育でエサ代を抑えつつ、栄養も妥協したくない」方
- 「カメをがっしりと大きく育てたい」方
さらに、「人工飼料だけで長期的に健康を維持させたい」という方にもマズリは最適です。
世界中の動物園で採用されている実績は、単なる栄養価の高さだけでなく、数十年生きるカメの生涯を支える安全性の証でもあります。
「嗜好性が高すぎて他を食べなくなるのが心配」という声もありますが、裏を返せばそれだけ個体の生命力を引き出す力が強いということ。
副食とのバランスをマスターすれば、これほど心強い味方はありません。
他のエサも知りたい方はこちらが参考になります。
参考記事:亀専門店が厳選!おすすめのエサ4選と失敗しない選び方
まとめ
マズリは、正しく使えばカメの飼育を劇的に楽にし、カメの健康寿命を延ばしてくれる素晴らしいフードです。
ただし、「これさえ与えればOK」という万能薬ではありません。
「メインはマズリ、でも副食の野菜(リクガメの場合)や正しいやり方で与える」というスタンスが、カメを幸せにする秘訣です。